日本ハイパーインフレ破綻論について

日本ハイパーインフレ破綻論について読んだのでまとめる。明石順平さんの本。先日年金について勉強していたと書いたが、その絡みでどうしても社会保障関係費用や国の借金にはいろんな本で触れられている。新書で読めるものの中で1番突っ込んで警鐘を鳴らしている人なのかもしれない。

理路は次のようなものだ。

 アベノミクス以降、日銀は株価を下支えして、かつ国債を引き受け続けてきた。国債市場で6〜7割を日銀が占めている。買い続ける(買いオペ)ことをもうやめることはできない。なぜならば、これだけのシェアを占めている日銀が国債を買わなくなると、国債価格が暴落し、金利が急上昇してしまうからだ。
 
 日銀は民間企業が日銀に預けている当座預金の量を調整することで金利をコントロールしている。アベノミクス以降、前述のとおり大規模な買いオペを行なっているが、マネタリーベースの伸びに対してマネーストックがあまり伸びず、物価目標は達成できていない。(これを著者は失敗だとする)

 では、物価目標を達成したらどうするのか?買いオペをやめるのか。いつかは金融緩和をやめ、金利を上げて物価上昇を抑え込まなければならない。そのためには通常は売りオペを行い、国債を売って日銀当座預金を減らす。このことで金利を上げてお金を借りづらくし、供給されるマネーを減らす。しかし、あまりにも異次元なほど国債を書いすぎてしまい、当座預金が膨らみすぎたせいで金利を上げると大赤字になる。また、日銀が買いオペをやめるだけでも国債市場に占める割合から国債が暴落し金利が急上昇する可能性が高い。

 つまり、通常の売りオペで物価を抑え込む手段が使えない。日銀当座預金が膨らんだままであることが問題である。

他に手はないのだろうか。

しかしこれでは利払費が膨大で400兆円の当座預金で1%でも4兆円になる。日銀の純資産は資本金と準備金をあわせて3.2兆円。引当金5.2兆円を足しても8.4兆円しかない。普通の会社では倒産する。

  1. 通貨発行

円の信用が落ちる。 円安を止められなくなる。つまりインフレを止められない。

  1. 法定準備預金の預金準備率を最大限20%まで引き上げる

これは銀行の収益にかなりダメージとなる。

  1. 預金封鎖

一定額以上預金を引き出せなくする。また、預金に対して課税する。敗戦後のインフレでやったことがある。

 そもそも、日銀が国債を直接引き受けることは財政法第5条で禁止されている。今やっていることは、一旦市中銀行を噛ませて国債を買い上げる、実質的な脱法行為である。なぜ中央銀行が直接の国債の引き受けを財政法が禁止しているか。戦前、高橋是清の金融緩和策が、緊縮財政に転じようとした段階で軍部から反発を受けクーデターで死去、日銀の国債直接引き受けし放題にしたことが戦争の遂行を可能にし、通貨の信用を崩壊させたことに対する反省がある。

この借金をどうするのか。著者の示す選択肢

全部を消費税で賄おうとすると17%税率を上げる必要がある。

  • 経済成長

生産年齢人口が減り続け、実質民間最終消費支出と連動している世帯数は2023年にピークを迎え減り続けるので無理。

  • 極端なインフレ

極端なインフレは戦争で生じた債務を帳消しにするためには合理的だが、日本の借金は社会保障費の増大が影響している。過去の借金分は減るが、未来に増え続ける費用についてはインフレによって膨らんでいく。

 最後に、過去の歴史からは、預金封鎖や通貨の切り替え、極端な増税と緊縮が行われるのではないか、太平洋戦争後より困難な事態になるが、先送りしてはいけない、としている。
 この記事危ない円安:《危ない円安》ハイパーインフレで「新通貨」しかない=藤巻健史 | 週刊エコノミスト Onlineなんかでは違う手法も書いてある。