読書

内田樹さんの本の中で心に留めておきたい一説。久しぶりに氏の本を読んだ。相変わらず、背筋を伸ばして読まなければと思わせられる文体。

世の中には、答えを出して「一件落着」するよりも、「これは答えることの難しい問いである」とアンダーラインを引いて、ペンディングしておくことの方が人間社会にとって益することの多いことがある。(中略)「答えを得てすっきりする」よりも、知性的にも、感情的にも生産的であるような問いが存在する。(中略)截然と決するタイプの知性よりもむしろ理非の判断に思い迷う、「計量的な知性」「ためらう知性」が必要である。

カミュの異邦人を紹介し、彼がレジスタンス運動後に対独協力者の処刑が始まった際、対独協力派の旗頭であるロベール・ブラジャックの死刑に助命嘆願を求められた際、カミュが署名した物語を引き合いに展開される。死刑の存否について。

サル化する世界 (文春e-book)

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