悩み
この連休、防音についてしか考えていません。禿げそうです。今年の年初あたりからメンデルスゾーンのピアノトリオ1番をさらっていたところ、上階か下階かわからないけれども「ドーン!ドーン!」と部屋のGL壁に伝わるような力でメッセージ(クレーム?)が発せられたことに端を発しています。それ以来、時間に制限を設け(それまでは夜10時くらいまで弾いていた)消音ペダルも踏むようになったものの状況は改善せず。最近では夜7時にスケールを弾き始めると「ドーン!」とされる始末です。このクレーム元は未だに上階なのか下階なのか隣戸なのか、特定出来ていません。上階からなら大きく飛び跳ねれば響くと思いますが、下階からは部屋を仕切る石膏壁をドンドン叩いているのか…?隣戸からは隣接するコンクリート壁を叩いているのか…?そんなことをして自室内ドアが揺れ動くまで音がするものだろうか…?
今まで下階を疑っていましたが、上階からのクレームである可能性も高いなと思い始めました。堂々巡りです。
(なお、ヴィオラは深夜に弾いても何も言われたことはありません。流石にA線の上の方を強く鳴らすことは避けてますが)
2019.1月から5月にかけてやったこと(ほぼ対策なし)
- 消音ペダルを踏み、指慣らし程度に練習は継続
- アップライトピアノ背面に15cmのスペース確保
- スタジオに行く(月平均5万ほどの出費)
- 防音についての基礎知識の習得(色んなサイトにて)
- 家の防音性能の確認
- ユニット型防音室の検討、市販防音材の検討
調律師の方、先生含め色んな人に相談し、また防音について色々調べたので備忘録としてまとめました。
問題
誰に相談すれば良いのか問題
幸い楽器店に勤める友人やピアニストの友人がいるため相談相手には困らなかったものの、
- それぞれ住んでいる家が異なり、
- 家の材質も異なり、
- どの程度の防音で満足するのかはクレーム元の感情にも依り、
- 弾き手の満足度にも依る
ものであるからして、一律「ユニット防音室を入れなさい」「一室完全防音しなさい」という風なアドバイスも(多額の出費にもなるため)、直ぐに納得して行動に移せる、というものでもありませんでした。また、ユニット防音室を入れれば24時間弾き放題と思っていましたが、そういうことは全くなく(アビテックス体験済です)、ユニット防音室を入れたとしてもクレームが来ることもあるという事例も知りました。
また、自宅の既存の防音性能を説明し、どのような対策を講じれば良いか、というところまで含めて相談できる相手は案外少ないということもわかりました。
何を信用していいのか問題
・これは防音に限りませんが、セクハラだと感じたらセクハラ、不快だと感じたら不快、という昨今の風潮の通り、防音についても相手方がどの程度神経質かにも依るところがありとても難しい問題です。
また、
・防音関係のwebサイトに関しては音響透過と衝撃音吸収それぞれについて、どれほどの防音(防振)性能が向上するのかデータが示されていないことが多いため、「これを信用していいのか?」と疑問になることの方が多かったです。
現状の把握
既存構造
・コンクリートスラブ200mm
・二重床
・フローリング遮音はLL-45
・仕切壁石膏ボードはD-55
・遮音サッシ(T-2)
アップライトピアノ設置場所
マンション自室内の真ん中の部屋であり、GL壁で自室の1つと隔てられている反対側に置いています。ピアノの裏面の部屋は寝室に使っていますが、居間でテレビを付けたり人が話していても殆ど聞こえません。調べたところD-55の石膏ボードでした。
設置状態
アップライトピアノの下にはゴム製インシュレータを履かせ、その下はフローリングでカーペット等は敷いていません。インシュレータはITOMASAのピアキャッチに似ています。
音漏れの原因は何か?
仮説
・フローリング床・ピアノ背面のGL壁から伝わる固体伝播音が下階、上階、隣接戸に響いている(確証なし)
防音について勉強と対策
目指す防音性能
何をすればいいか
つまり、アビテックスやナサールのように
- 空気伝播音を低減し、併せて
- 背面のGL壁、床からマンションのコンクリートに伝わってしまう固体伝播音を伝わらないようにする
重点を置くべきは固体伝播音の方だ、と理解しました。
具体的対策とその方法
目指す方向性
約120万のユニット型防音室はコスパが悪い。。また、今後賃貸に出す可能性も含めて約250万の一室防音も気が進みません。色々なサイトを調べ考えた結果、予算5〜10万円での簡易防音で上述した防音効果を出すことを目指すことにしました。
これまでwebサイトで調べたこととYAMAHAの展示室でアビテックスを体験した結果、ユニット型防音室は音の発生源であるピアノ自体を防音・防振することなく練習室としての機能(響き過ぎても良くないし、響かな過ぎるのも良くない)を追求した結果、二兎追う者は一兎も得ず的に中途半端な箱になってしまったのではないかと推察しました。
方法
床について
1.5畳(ピアノ椅子を含むか含まないかは悩み中)ほどのスペースに対策をする予定です。
背面について
20cmほど仕切りGL壁から背面を離しています。残念ながら
・アップライトピアノの上にクーラーがあるため一面に吸音材を敷き詰めたり、一面にカーテンを垂らすことが困難な状態
・壁紙が剥がれたりしてしまうことが心配(持ち家のため壁紙は貼り替えれば良いのだが・・・)
アップライトピアノについて
- 昨年の暮れにピアノカバーがボロボロになってしまい、音響的にカバーが無い方が良かったためカバー無し、また場合によっては上蓋を開けた状態で弾いていたため、市販のカバーを購入しました。(2019.5.1)
→ピアノカバーがあるだけでだいぶ音の反響は抑えられることを実感しました。壁ドンクレームが来るようになったのはピアノカバーを排除した後のことなので、これだけで効果はあるのかもしれません。(2019.5.2)
- いまのインシュレータをYAMAHAで勧められたスーパーインシュ静に変えるかは検討中です。
市販品の購入予定のもの
・穴あき合板(厚さ4ミリのベニヤ、概ね910×1820サイズ)2枚→ホームセンターで購入予定→購入済(2019.5.6)※ピアノ背面の壁の横幅が1780mmであったため、2枚めは横幅を865に切ってもらった。
・アクリル気密テープ→購入済
・木工用ボンド→購入済
・両面テープ→購入済
・タイルカーペット→椅子部分まで含めるのか何枚買うか悩み中。Amazonで購入予定
・その他の防音材→防音職人様にこの対策で十分か含めて依頼をしようと思ってメールをしました。
簡易防音をした
(以下2019年12月30日追記)
この記事を書いて半年、ようやく簡易防音(床)が完成。施行中というか作業中の写真は取らなかったけれど、制振フェルト→遮音マット→防振マット→静床ライトの順に重ねて、貼り合わせはアクリル気密テープで行った。静床ライト(防音カーペット)のみ、大きさに合わせてカッターで切る作業が発生。
背面には吸音パネルが石膏ボードとの間に詰まっている状態だが、音響関係の友人いわく遮音シートを壁一面に貼るのが良いとのことだった。
クーラーとの間にはillomdという膨らむ素材で間を埋めるようにとのこと。illomdは検索しても日本語サイトが無かった。この件については現在進行中。
簡易防音後日談vol.2(2020/1/11追記)
今のところ天丼(階下から天井をドンドン突かれること)は来ていないけれど、簡易防音とアップライトピアノの背面に吸音パネルを敷き詰めたところ、消音ペダルを踏むとほとんど音が響かない状態になってしまった。そのため打鍵時に必要のない力を使ってしまい手首に力が入り肘にも負担がかかり、こりゃダメだなという感じ(気をつければ何とかやっていけなくもないレベル)。依然低音域で思い切った打鍵をすることには抵抗がある。
結局、防音(遮音+吸音)のことだけを考えていると「練習のために最も効果的な音場作り」が蔑ろにされてしまい、この両立は難しい。プロの音楽家にアドバイスを求めると必ず「一室完全防音しなさい」と言われるし、アビテックスなど箱型防音室に対しても賛同される人は少ない(僕の周りでは)。上達のためには音響環境はかなり大事だし(普段使用しているコンサートホールがオーケストラの響きを作る、と言われる)、このことを理解してアドバイスをする音響の専門家というのはなかなか探すのが難しいのではないか。
簡易防音後日談vol3
高音域は確かにかなり音は遮音されてるように感じるが、低音域は下の階に聞こえてしまってる感じがして怖い。打鍵の力を制限するので左手の上腕二頭筋あたりに余計な力が入ってしまう。変な癖がつくからダメ。ここの部位に余計な力が入ると早い跳躍が正確に出来ないし右手にも影響する。アビテックスもただ入れるだけだとマンションでは意味をなさないと聞いてるので今ある資材を下に敷くのとマンションの床下のオプションを付けるのと、もう少し資材を買い足して設置したい。変な癖がつくのはピアノ人生を棒に振ることに匹敵する。
箱型防音室
箱型防音室については、アビテックスの専門の人に自宅に入ってもらったところ、高層マンションのため2畳の大きさであってもスプリンクラーの設置が必須であり、天井の配管工事を伴うものになるとのことだった。
この簡易防音で満足できない場合には、3.5畳のナサールかアビテックスを入れて、グランドピアノを新調することを検討している