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川上未映子の『ヘヴン』を読んだ

 川上未映子の『ヘヴン』を読んだ。『すべて真夜中の恋人たち』に比べると、構造的にゆとりがあるのではないかと思う。すべての部分に意味があるような、まったく全体に関わりのない意味のない部分もあるような、それはコジマが語るように「すべての苦しみや悲しみには意味がある」のか、この小説の主題に関わることなので、半ば意図的なのだろう。
 この作品は2009年に発表されたもので、いじめを扱っている。かなり強烈な描写もある。最後の、コジマが裸になったりするあたりの、複数主体の視点が混濁する部分だけでも、この小説は読む価値があるんじゃないかと思う。あとは百瀬にちゃんとたくさん喋らせている所がよかった。最後に百瀬とコジマが一体になる場面があって、ここを読み解くのにもう少し時間が必要だ...。
 それにしても、5年前の作品だからか、コジマの考え方も、百瀬の考え方も、ちょっと共感し辛い部分あった。
 ところでこの川上未映子って人の作品には、空間を切り取ってそれを四角に折って、それをまた半分にして、みたいな描写が一作に一度は出てくる気がして、それが引っかかっている。

ヘヴン (講談社文庫)

ヘヴン (講談社文庫)

ヘヴン

ヘヴン